成人式に振袖を着た思い出

成人式に振袖を着た思い出

私はもともと成人式自体に参加する意思はありませんでした。
しかし、両親や祖父母からの説得で、参加することになりました。
もともと和装は好きで、着物は七五三以来着たことはありませんでしたが、お祭りや盆踊りの時には必ず浴衣を着ていました。

でも、レンタルするにも購入するにも多額のお金がかかること、成人式出席を決めた時期が式直前だったこともあり、あきらめていました。
就職試験にも役に立つようなスーツの購入を検討していたのですが、祖母が随分と前から私のために振袖を用意してくれていました。
いつ購入してくれたのかはわかりませんが、私に似合う着物を懸命に考えて購入してくれてました。
また、将来袖を落として訪問着としても活用できるデザインのものを選んでくれました。
当時は派手な柄の若々しいものにあこがれていました。
しかし、祖母が選んでくれた着物の柄はとても上品でシンプルなもの。
私は若い時には若い時にしか身に着けられないものを選択したいと考えていました。
お互いの思いが通じ合わずイライラしてしまいましたが、実際に着付けてもらい、お世話になった人たちに挨拶に行くと、祖母が選んでくれた着物はとても好評でした。
私にもとても似合っている、と言ってもらえるものでした。前撮りの際も写真屋さんが絶賛してくれました。

着付けをしてくださった美容院でも、とても高価で、良い品の着物だと聞きました。
祖母は恩着せがましいことも、値段のことも何も言わずにただ私に成人の祝いとして着物を持ってきたので、
美容院で話を聞いた時には涙がでそうなほどうれしい気持ちになりました。

結局成人式で着た着物は30代になるまで何度も、結婚式や卒業式で活用できました。どこに行っても好評な着物。
年を重ねた今では、派手な柄ではなく、上品でいくつになっても着ることができる着物を選んでくれた祖母には頭があがりません。
祖母が嫁いだ時代は着物は持参品としては必須だったと思います。
そんな祖母だからこそ考えることができた選択だったのだと痛感しました。

もうこの世にはいない祖母にはもう感謝の意を伝えることもできず、当時きちんとお礼を言えなかったことをとても後悔しています。
自分はなんて子供だったのか。
今は着物を着る機会など自分で作らなければなくなってしまった時代ですが、祖母が贈ってくれた着物をたくさん活用することが恩返しだと考えています。
祖母とも撮った成人の日の記念写真は今でも私の宝物です。


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